この数年、Liveをやるために作られた会場でLiveをするより、そうでない会場でLiveをする回数の方が増えて来ました。
それも少し雰囲気のある場所を選んでLiveをやらせてもらっています。
そういう空間が演奏者やその会場に来ている人達に与える影響というのはとても大きいと僕は思っています。
その空間だからこういう演奏になった、この空間だからこそこういう気持ちで聞けた、そういう事があると思っています。
空間のみならずシチュエーションでも変わって来ることは多いだろうと思っています。

先日ちょっと面白い体験をしました。
雨の日の夜に音楽を聴きながら歩いていました。
僕が使っているのはwalkmanなんですが、ランダムで色々音楽が流れるセッティングにしています。
たまたま今まで気にかけた事の無いような曲がその時流れたのですが、これがその雨の日の夜、そしてだんだんと寒くなりかけているこの時期、そんなタイミングで聴くとドンピシャで、結局エンドレスで家に着くまでその曲ばかりリピートしてしまいました。
気にもかけた事がない曲が大好きな曲に急変したわけです。
でも、翌日、晴天の昼間にまたまたwalkmanでその同じ曲を聴いたところ、前日のようには全くささって来ませんでした。

そしてこれまた面白いなと思った体験。
ピアノをやっている方なら誰もが通るであろう指の練習曲集”HANON”。
とにかくひたすら右手も左手も同じ動きで指の運動をして行く曲集。
これが１番から３０番まではとにかく退屈。
まあ指の鍛錬の為なので面白くは無いですよね。
でも、最近１番から３０番まで通して弾いた後３１番を弾いた時に今まで気づかなかった事に気づきました。
この３１番は右手左手が３度でハモっていて同じ動きで指の練習をします。
１番から３０番までは右手がドレミファ、なら左手もドレミファという感じで全く同じ音をひたすら機械のように弾くだけなので全く音楽的ではないわけです。
でも３１番はハモっていて少し音楽的。
しかもこの１番から３０番まで通して弾いた後に３１番に突入した時の開放感はものすごい。
HANONでは一番やってはいけないであろう抑揚をつけた演奏をしてしまいそうになる（笑）。
そして３１番がかなり素敵な曲に聞こえる。
これは３１番だけ弾いてもそんな気持ちには全くなりません。
苦行の後に達した際にのみ得られる感覚なのでしょう。
前までは全くこんな事思いもしませんでした。
なぜなら僕は１番から３０番まで通して弾くなんていう練習をしていなかったからです。
最近そんな練習方法をした際にこんな３１番の魅力を発見しました。

先日の京都Cinematic SaloonでのLiveも、この空間でこんな音楽を聞けて良かった、という声を沢山いただきました。
今回、このJaztronik presents Musilogue “象”tourでは様々な場所でLiveをやらせていただきます。
その中に前から気になっていた旧グッゲンハイム邸でのLiveというのがあります。旧グッゲンハイム邸についてはこちらをどうぞ→ http://www.nedogu.com/
僕もまだ行ったことはありませんが、きっとこの空間でしか味わえないLiveになるだろうと思っています。
空間やシチュエーション、様々な条件が整った時に、自分でも気がついていない自分の中の感覚が音楽によって殻を破って出て来るのかもしれませんね。

Liveぜひみなさん来てください！