Blog - 最近話題の著作権 2017. 02. 03 09:02
なんだか使用料徴収で話題のJASRAC。
ヤマハやカワイなどの大手音楽教室から管理楽曲の使用料の徴収を始めるとのこと。心情的には僕もほとんどの人の意見と同じでちょっとやりすぎじゃない?ってすごく思います。生徒さんから徴収するわけではないにしろ。それにそこに結びつけた理由も非常に理解に苦しみます。
ネットなんかではCD不況で徴収料が減ってきてるからとうとう音楽学校からも!なんてなってますが、JASRACの使用料年間徴収額はそんなにこの10年変わってません。http://www.jasrac.or.jp/profile/outline/detail.html
今回のポイントは著作権の中の『演奏権』と『公衆』ですが、実は僕この著作権に関してこの2年間くらい少しだけ勉強しました。なぜかと言うと、これからスタートする『Musilogue』というプロジェクトの為に勉強せざるをえなかったので。
http://musilogue.co.jp/
『公衆』の解釈に関しては、昨日たまたまMusilogueの弁護士さんと色々話をしてる際に聞いたのですが、僕は専門家ではないので難しくて「う〜ん、、」という感じです。
個人的には今回の問題点はJASRACの”著作権料を年間受講料収入の2・5%とする案”だと思ってます。
その前に、JASRACの味方でも敵でも会員でも僕はなんでもないですが、あまりみなさんJASRACがどういう機関かはご存じないですよね??悪魔のような機関だと思われているかも(苦笑)なのでちょっと説明します。
僕ら著作者は自分の楽曲が使われた際、当然自分では調べられないし、その上あちこち行って使用料を徴収出来ないのでそれを委ねてその徴収を代行するのがJASRACです。当然そこには著作者とJASRACとの契約があります。
「僕の楽曲がどこかで何かに使われたら使用料を僕の代わりに徴収してきてくださいね。」
という著作権信託契約という契約が。なのでこういった契約をJASRACと結んでいない楽曲はJASRACによる徴収は対象外です。
さらに言うとその預ける著作権はその中で幾つかに分かれています。
演奏権、録音権、貸与権、出版権、映画への録音、ビデオプログラムへの録音、ゲームソフトへの録音、コマーシャル送信用録音、放送・有線放送、インタラクティブ配信、業務用通信カラオケ、
こんな感じで色々分かれてます。著作者はこの中のどの権利をJASRACに預けるかを現在は選べるのです。一昔前は出来なかったようですが。
さらに言うと新たなJASRAC以外の著作権管理団体もあるので『〜権』はJASRAC、『〜権』は別団体、といった事も出来ます。
僕はこんな話をしにしょっちゅうJASRACに行ってます。
今回の件で『楽譜で既に使用料払っているのではないの?2重に払うの?』というのを見かけますが、楽譜は上に書いた『出版権』という権利に関わってくる事なので、今回話題の『演奏権』とは別の話で2重の徴収という意味合いとは異なるかなと思います。
ちなみに、預ける権利を自分で自由に選べるのは音楽出版社が絡んでいない場合です。
ここの話はちょっと話がだいぶ複雑になるので、知りたい方は後述する『著作権の勉強会』に来てください。
ちなみにだいたいのアーティストさんや作曲家さんはこういった順で契約していて、
JASRAC
⬆︎
音楽出版社
⬆︎
著作者
その場合こういった順で使用料が分配されます。
JASRAC
⬇︎
音楽出版社
⬇︎
著作者
基本的にはだいたいの人がこの上記の著作権を全預けにしてしまってます。
僕も2年前まではここら辺の仕組みを全く知らなかったので当然全預けです。
JASRACは管理楽曲がこういった上記の『〜権』に関わる使われ方をした場合、契約に従いそこへ徴収しに行かなければならないのです。
言い方を変えると我々著作者がJASRACにお願いしているわけです。
「私は音楽強室やダンス教室から徴収してくれなんて頼んでないです」と言っても権利を預けている以上それは知らないうちに頼んでいるのです。
だから本当は著作者は著作権に関してはすごく勉強した方が良いのです。
JASRACに行くとすごく丁寧に細かく教えてくれますよ。
なので今回のテーマの『演奏権』も、もし使われた曲をJASRACが1曲ずつ調べて使用者に請求するならば、これはもうその著作者との契約上の事なので仕方ないのかなと個人的には思います。それでも、音楽教室はやりすぎかなと思いますが。ここまで読んでくれて鋭い方なら『演奏権』を預けなければ良いのでは?と思われる方もいるかと思いますが、『演奏権』は決して音楽強室対策の為にある権利ではないのでそれを預けないと他に不具合が出てきてしまい中々現実的には難しいかなと。
だいぶ間をあけてしまいましたが、今回の騒動で僕が一番引っかかるのは”著作権料を年間受講料収入の2・5%とする案”という年間一括のところですね。これは一体何の曲に対しての徴収なのか?と疑問に思います。僕が勉強不足な可能性もありますが。1つ1つのレッスンで各先生が使った曲を提出してそこから使用料が計算されるならわかりますが。なにせ1番よくレッスンで使われるようなクラシックの楽曲は基本的には著作権切れになっていますからね。きっと最近のポップス等の著作権が切れていない楽曲に対してという事なのでしょうね。そこら辺は気になりますね。
この後色々ともみ合いがあってどこかしらに着地するのだとは思いますが、どんな着地点になるのかは非常に気になります。
音楽は誰もが楽しめる様なある意味自由な状態であるべきだし、ただそれだけでは音楽を生業としている人は生きていけないし、そうなるとやはり著作権管理団体は絶対に必要だし。僕は基本どちらかというと感情論タイプの人間なので今回の問題は『え!ナニ、それ!』となりましたが、著作権の問題は感情論だけでは解決できない中々難しい問題だなと思います。なんにせよ、音楽文化にプラスになる着地点になる事を望みます。
※ちなみにこのブログはあくまで僕の知識内での判断で書いたものなので間違っている可能性が無きにしも非ずです。なのでコピペはお勧めしません。
はい、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
さて、『著作権の勉強会』のお知らせです(笑)
2月22日に開催です。
イベントの詳細はこちらのFacebook pageに書いてありますのでそちらを読んでみてください!
https://www.facebook.com/events/1855523734729954/
全く緊迫感のない楽しい会ですので、詳しく知りたいという方は是非いらしてください!
どなたでも参加できます。
昨年行った第1回目は100人以上が参加で大盛況でした。
一緒にこの会を行う谷口元さんはこんな方です。
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1960年東京生まれ。米国テネシー州ベルモント大学(Belmont University)卒業。その後、ソニー・ミュージックエンターテインメントで8年、エイベックス・グループで20年、主に音楽著作権や国際業務、海外戦略を担当してきました。エイベックスでは国際戦略と知財戦略を担当する取締役や、音楽著作権を管理する子会社の代表取締役を歴任しました。
また、一般社団法人日本音楽著作権協会の理事や、一般社団法人日本音楽出版社協会の理事などを兼任。内閣府の知的財産戦略推進本部の主宰する各種調査会やタスクフォースにも委員として参加してきました。
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よろしくお願いします!
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