Blog - A New Phase of Life 2016. 06. 28 02:06

今回は『Keystone』のエンディングを飾る曲”A New Phase of Life”を紹介します。
“A New Phase of Life”は”新たな門出”という意味でつけました。
これから新たな世界に飛び込んでいく人たちへ向けての曲です。

昨年僕がインタ−FMでやらせていただいていた『寝れない人への処方箋』でも何度か特集を組んで紹介した事のあるminimal music。
そこにこの曲ではチャレンジしました。
minimal musicと聞いて音楽好きが一番最初に名前を挙げるのは間違いなくSteve Reichでしょう。
僕も大好きで影響もとても受けています。
もちろん他にも沢山の著名な作曲家がminimal musicのスタイルで曲を発表してきています。
minimal musicは様々な進化を遂げてきているのですが、僕もいつかそのminimal musicの要素を持つ曲を自分の作品の中で作りたいなと思っていました。

minimal musicというのは色々と説明の方法はありますが、最小の音要素で楽曲を構築していく音楽です。
中にはびっくりするくらいシンプルなものもあります。
メロディが綺麗とか、コード進行がどうこうといった感じで楽しむ類の音楽とはちょっと種類が違うかもですね。
僕に関しては、音像だったり、アイデアの斬新さだったり、そういった所に最初は興味を持ちました。
シンプルな故、そのシンプルさを延々演奏し続ける忍耐も音楽家には求められる気がします。

実はこの”A New Phase of Life”は最初は一人でピアノで多重録音で作っていました。
以前『Dig Dig Dig』に収録した”seventh sense”も一人多重録音でした。
そんな時にレコード会社のスタッフから東京芸大の学生たちとやってみませんか?という話を頂きました。
最初は正直あまり乗り気ではありませんでした。
やはり限られた時間でレコーディング慣れしていない学生達で一体どこまで出来るかわからなかったので。
それに音大卒のバリバリ現役で活動しているミュージシャンは周りにも沢山いるので、むしろそういったいつも一緒にやっている人達とやった方が良いのではないのかな?とも思っていました。

そうこう悩んでいる時に自分が大学生の頃を思い返す時がありました。
自分にはそんな機会なかったな、って。
多分ちょうど自分も3月で40歳になって、まあ節目といえば節目なので思い返したのかもしれません。
唯一、ソルフェージュ(という授業があります)の先生がCM音楽業界で有名な方だったのでその先生に連れられて音楽スタジオに行った事がありました。
スタジオの見学のみでもかなり興奮したのは覚えています。
20歳位だったので当然そういう世界の事は何も知らなかったので。
何だかよくわからない機材が大量にあって、それを扱う人がいて、いわゆる業界人みたいな人がいて(笑)、みたいな世界。
そういったのは学校では見れないですからね。

そんな事を思い返すことにより、ひょっとしてスタジオ見学だったりもしくはレコーディングに参加といった機会を学生や音楽を勉強している人達に設けるというのはすごく重要なのでは?と思い始めたわけです。
あくまで僕の意見ですけどね。
という事で”A New Phase of Life”は途中までピアノのみで録音を進めていたのですが、急遽アレンジをし直してこのアルバムに収録されているヴァージョンに変更となったわけです。

アレンジするにあたって参考にしたのは僕が多大な影響を受けているSteve Reich、そのライヒの『18人の音楽家の為の音楽』という曲でした。
これはSteve Reichの代表作の1つです。
僕の持っている『18人の音楽家の為の音楽』の楽譜には楽器のセッティング図等も載っています。
“A New Phase of Life”と『18人の音楽家の為の音楽』は全く同じ編成というわけではありませんが、だいぶ似ている編成なのでレコーディングの際はこのセッティング図も参考にしました。
僕の編成はピアノ2台、マリンバ3台、ヴィブラフォン1台、シロフォン2台、ヴァイオリン、チェロ、ソロヴァイオリン、バスクラリネット2本、という編成でした。

phase1

もちろんスムーズにレコーディングが進んでわけではありません。
僕がスタジオに到着した時になんとまだマリンバだったりヴィブラフォンだったりが到着していなかったのです。
そんなこんなでマリンバ到着まで1時間以上待つことに。。
かなり遠くから来ている学生もいて終電までには家に帰さなくてはというのもあったのでレコーディングは時間との戦いになりました。
しかしそこは芸大生、さすが飲み込みが早い。
1時間くらい全員で練習をしてから録音を開始したのですが、なんとかギリギリ終了しました。
みなさんお疲れ様でした。
ちなみに中間部分のゆっくりなる箇所だったりソロはヴィオリンが伊藤彩ちゃんでチェロは古川淑惠ちゃんです。

phase20

今回のKeystoneリリースLiveでもこの曲にはチャレンジしますが、なかなかヘビーでやりがいのある曲です。
ミュージシャン全員今どこを演奏しているのか見失わないように必死です(笑)
そのせいか無事最後までたどり着いた時の達成感は他の曲とは別格なものがあります。
さて、いよいよ1週間を切りました赤坂BlitzでのLiveですが、チケットはこちらから宜しくお願いします!!
リリースLiveは1度しかないので是非来てください!
http://eplus.jp/sys/main.jsp?prm=U=14:P1=0402:P2=007149:P3=0080:P6=001