Blog - Now 2016. 06. 16 01:06

『Keystone』の1曲目を飾るのは”すみれ”さんが歌う『Now』です。

Jazztronikのアルバムではだいたい1曲目にリード曲と呼ばれる曲が収録されます。ただ、既に聞いて頂いた方はおわかりかもしれませんが、『Now』という曲は今までのアルバムのリード曲とはだいぶ趣向の異なる曲です。僕も自分で作っておきながらなんというジャンルで表現したら良いのかちょっとわからないのですが、言ってみるとバラードに近いのでしょうか。

“すみれ”さんの存在はもちろん知っていたのですが、実は去年の半ば位まで歌手活動もしているという事は失礼ながら知りませんでした。たまたま僕が別プロジェクトでVocalistを探している際にスミレさんの事を教えてもらい、その時に初めて彼女の歌を聞きました。あまりの歌の存在感に衝撃を受けまして、『彼女にはいつかJazztronikで是非歌ってもらいたい!』と即座に思いました。

そしてこの『Now』ですが、これは僕がまず”すみれ”さんの声を想定して勝手に作ってしまいました。何のオファーもしていない段階で(笑)。
そもそも僕が最初に聞いた”すみれ”さんの曲と言うのは結構アッパーな曲でした。ただ、『彼女は絶対歌唱力がある』と、これまた勝手に僕は思い込んでいたので歌唱力がある人でないと歌えないタイプのミュージカル調(?)の曲にしようという事に頭の中ではなっていきました。ビートや派手な音で押していく曲ではなく。
ちなみにここだけを読むと思い込みの激しいヤバい人な感じが若干しますが(苦笑)、この進め方は例えば歌でなくてメインが何かしらの楽器だとしても手順としては同じであり僕にとってはいたって通常の曲の作り方なのです。楽器が異なれば音が全く違う様に、当然歌い手が変われば声のサウンド自体も違うわけで、そこは曲調を決める段階から方向性をかなりしっかり考える必要があります。ちなみに、オファー断られたらどうするんですか?なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合はですね、、どこかハードディスクの奥の方に埋もれて行くのです。。

さて、方向性やアイデアが決まると、ここから土台を完成させていくのですが、実はこの作業が僕は結構早いです。その早さにはなんだか妙な自信があります。あくまで土台作り、ですが。
この『Now』も曲自体の構成&メロディは30分で出来てしまいました。
でもその分、頭の中でこの曲の方向性を考えている時にだいぶ時間がかかっていますけど。

音楽的な話でいくと、この曲、普通のポップスなら大抵入っているある楽器が使われていません。
一体それはなんでしょう??

実はベースが入っていないんです。
ベースと言う楽器はポップスのみならず様々なジャンルの音楽において必要不可欠と言っても過言ではない楽器です。むしろベースとドラムさえ鳴ってれば成り立つなんて言う曲も沢山あります。
そんな重要なベースなんですが、なんだかこの曲にはベースを入れてしまうとイメージしているフワッとした感じが出なかったので、それならいっその事大胆にベースをカットしてみようかなと思いベースを入れるのをやめてみました。ベースが入ると良くも悪くも安定感が出て来るんですよね。
Jazztronikの歌モノでベースが使われていない曲はきっと初めてではないかな??
Liveでは藤谷さん休めてラッキーですね、、他の事やってもらいますけど(笑)。

なのでこの『Now』はビートを除けば楽器としては僕のピアノとLondonでレコーディングをした25人編成の弦楽器しか入っていないんです。かなりシンプル。
それと拍子ですが、4拍子系なのか3拍子系なのか、実はまだそこがイマイチ自分の中でどちらなのかまとまっていません。。僕はいつもミュージシャン達から拍子の取り方がおかしいとブーブー言われます。自分では4拍子と思っていても「それ3拍子でしょ!!」とかね。
僕の曲だから僕の意見が正解のはずなんですが。。(笑)

色々と話が飛んでしまいましたが、個人的にはこの『Now』は今までJazztronikではチャレンジして来れなかった部分にうまくチャレンジする事が出来た曲だと思っています。
しかも”すみれ”さんのVocalのおかげでそれが僕の予想を遥かに超えた出来のものになったと実感しています。

長く皆さんに愛される曲になってくれれば良いなと思っています。

 

sumire